感想を書きたいブログ

読んだ本の感想を綴ります。この本、気になってた!という方の参考になればよいです。本好きな方ともどんどん繋がりたいです^^

真に創造的なのは、汗のにおいがする思考【思考の整理学】

外山慈比古著『思考の整理学』(1986)を読みました。

思考の整理学 (ちくま文庫)

思考の整理学 (ちくま文庫)

英文学を専攻とする教授による著書。忘備録を兼ねて、印象にのこった考え方をご紹介します!

1. 思考は寝させる

<<思考の整理法としては、寝させるほど大切なことはない。思考を生み出すのにも寝させるのが必須である。>>

一晩じゅう同じことを考え込むのではなく、一晩寝ることで頭がすっきりよく働いて解決することがあるという意見。
当たり前のようで言われてみればそうですね、と気付かされたポイントでした。
寝る前にぐるぐると考えがまとまらなくなることってありますよね。脳が疲れてるってことなのでしょうか。
そんな時は寝て翌日の朝に考えるのが良いみたいです。

2. 価値のものさしをはっきりさせる

<<整理とは、その人のもっている関心、興味、価値観(これらはだいたいにおいて同心円を描く)によって、ふるいにかける作業にほかならない。価値のものさしがはっきりしないで整理をすれば、大切なものをすて、どうでもいいものを残す愚をくりかえすであろう。>>

これは持ち物の整理で考えてみるとわかりやすかったです。なにを捨ててなにを残すのか、決定するのは自分の興味や価値観です。
価値のものさしとは、個性ということだそうですが、価値のものさしをはっきりさせるのが難しいから悩むんだよな、とは思いました。
自分自身の関心、興味、好きなもの、嫌いなものを常に自覚する。余計なことをむやみやたらに考えないといったところでしょうか。

3. 汗のにおいのする思考を生む

<<汗のにおいのする思考がどんどん生まれてこなくてはいけない。それをたんなる着想、思いつきに終わらせないために、システム化を考える。…(略)…真に創造的な思考が第一次的現実に根ざしたところから生れうることを現代の人間はとくと肝に銘じる必要があるだろう。>>


こちらが読んでいて一番印象にのこった部分です。
第一次的現実というのは直に接している物理的な現実世界で考えることで、二次的現実というのは観念上の世界で、読書や学問で得た知識を頭の中で考えることです。読書や学問で得られる知識にもちろん価値はあるけれど、それだけでは観念上の世界で終わってしまいます。これは、気をつけないともったいないなと感じました。どうしても自分の想像の中で完結してしまうことって結構多いです。観念上の世界も大切にしていきたいですが、現実を生きて感じたこと、考えたことから思考を深めていくことは真に創造的なのかもしれません。