感想を書きたいブログ

読んだ本の感想を綴ります。この本、気になってた!という方の参考になればよいです。本好きな方ともどんどん繋がりたいです^^

『内向型を強みにする』

 

マーティ・O・レイニー著 務台夏子訳『内向型を強みにする』(2013)*1を読みました。

 

内向型を強みにする (フェニックスシリーズ)

内向型を強みにする (フェニックスシリーズ)

 

  

本書では人間の気質を内向型と外向型に分け、その原因は脳の仕組みにあると科学的根拠をもって論じられています。どちらが良いとか悪いとかいう話ではありませんが、自身は内向型であるというアメリカ人の筆者によって、外向型が良しとされる場面の多い社会で生きずらさを感じる内向型人間を励ますようなかたちで書かれています。

 

・・・まさに私を励ますための本じゃないか!!ということで即注文しましたw

 

この本の好きなところは科学的見解が多く論文調で一見難しいのですがユーモアがあるところです。

 

もしどこかに自分に関係ありそうな情報があったなら、それはすばらしいことだ。逆にしっくりこない部分があっても、別に気にする事はない。これはあなたが自分自身や知り合いの内向型人間を理解するための道具なのだ。遊びは、新しい何かが起こる余地をもたらす。本書は人生と同様、遊ぶためのものだ。 

 

…別に気にする事はない(笑)ちょっといいかげんな感じもするけど、いいよね!

 

目次

 

 

 

 内向型と外向型とは何か

さて、内向型(Introvert)・外向型(Extrovert)とはどういう意味なのでしょうか。よく言う性格がインドア、アウトドアみたいなこと??内向的ってきくと暗くておとなしいとか、あまりよくないイメージがあるなぁ。本書では内向型・外向型とは何か、非常にわかりやすく説明されており、以下はその要約です。

  

内向型の人は、アイデア、感情、印象といった自身のなかの世界からエネルギーを得ています。例えるならば充電式バッテリー。いったんエネルギーを使うのをやめて、充電のために休息をとる必要があるのです。彼らの興味は自分の頭のなかへ向けられていて、物事をじっくり考え、自分を充電するための静かな場所が必要です。パーティーやテンポの早い場所では刺激が多すぎてすぐ疲れてしまいます。

 

一方外向型の人は外の世界、つまりさまざまな活動や人や場所や物など、外の世界からエネルギーを得ています。例えるならばソーラーパネル。彼らにとって、ひとりでいること、あるいはなかにいることは、厚い雲の下で生きているようなもので、充電のために太陽を必要とします。彼らのほとんどは人と話したり、人や活動や物に囲まれて働くことを好み、人や外界と接触していないときに、孤独や疲労を感じます。

 

あなたはどちらにあてはまりますか?どちらにも当てはまるし、どちらとは言い切れないという人もいるかもしれませんね。本書には簡単な自己診断テストが載っていまして、私は完全に内向型でしたw暗いってイメージがあるのはよくないですね。だって、自分自身のことなのに。自分自身が自身の性質のことを悪いイメージでとらえていることに気がつき、これは良くない、と思えました。

 励まされる素敵な一節があったのでご紹介します。

 

ゴールマン博士は、こう問いかけているーー感情に知性を、街に礼儀を、社会に思いやりをもたらすには、どうすればよいのだろうか?わたしたちは頭と心の両方を必要とする。反対の能力を持つ人から学ばねばならないのは当然のことだ。この社会は、人間性のあらゆる側面の恩恵を受けている。

  

それぞれの人間にそれぞれの側面があり、どちらも健全であり、社会に必要であるということですね。

 

 

気質の違いとからだのつながり

 筆者によると、わたしたちの気質の起源は遺伝子であり、遺伝子は心身の複雑なネットワークを決定づけます。

 

気質の違いは、主として神経科学物質に由来するようだ。わたしたちの遺伝形質のなかには、約百五十種の脳内科学物質と、神経伝達物質を処方するレシピとが含まれている。神経伝達物質は、細胞から細胞へ指示を伝え、脳のあらゆる動きを指揮している。

 

内向型と外向型の行動の違いは、脳の異なる経路を使うことに起因し、神経伝達物質は、内向型の場合外向型よりも長くて複雑な経路をたどります。また、外向型の自律神経系の拠点が交感神経寄りであるのに対し内向型は副交感神経寄りであることから思考がさかんであり脳が忙しく働いている一方、外向型のようにすばやく考える、話す、行動するということが苦手です。

 

副交感神経系が優位なため、内向型人間はーー

  • なかなかやる気が起きない、あるいは、動き出さない。怠惰に見えることがある。
  • ストレス下での反応が遅い
  • 態度が穏やか、または、ひかえめである。歩いたり話したり食べたりするのが遅い。
  • タンパク質の摂取と体温を調整する必要がある*2
  • エネルギーを回復するために休憩をとらねばならない。

 

 ちなみに私は給食食べるのめっちゃ早かったですけどね。でもたしかに、「だらだらしてんじゃない!」って母親によく言われてたし、なんでみんなあんなに溌剌としているんだろう・・・わたしがおかしいのかなあ、よくないのかなあと感じる事は多々ありました。今思えば、別にだらだらしたけりゃ十分だらだらしたらいいし、ぼんやりしたらいいと思います。ましてや、子供なんだから。子供って全然自由じゃないよなあ。一方外向型の人は

 

交感神経系が優位なため、外向型人間はーー

  • ストレス下ですばやく行動する。
  • 体を動かしたり、運動したりするのが好きである。
  • エネルギー・レベルが高く、頻繁に食べる必要がない。
  • することがないと落ち着かない。
  • 人生半ばで衰えたり、燃え尽きたりする恐れがある。

 

ないものねだりですが、うらやましさがあります。エネルギー・レベルが高いっていいな。 

 

 

脳が快感を得る方法

 気質は、脳がなにから快感を得るのかということと関係します。超危険なチャレンジ、例えば高層ビルの上を綱渡りで歩く人などは、遺伝子的にドーパミン(運動や意欲と関係する物質)需要が大きく、スリルを追い求めずにはいられないのだといいます。

 

自律神経系は、精神と体を結びつける系であり、わたしたちがどう外界に反応し、どう行動するかを左右する。…外向型の人が、ドーパミン/アドレナリン、エネルギー消費、交感神経系と関係が深いのに対し、内向型の人はアセチルコリン、エネルギー保存、副交感神経系と結びついているのである。

 

ドーパミンは運動、注意力、覚醒、学習に密接に関わる強力な神経伝達物質であり、外向型の人はドーパミン感受性が低く、大量にそれを求めます。そのため交感神経系が働くことによって放出されるアドレナリンにたよりさらなるドーパミンを作り出し、活動的になればなるほど、ドーパミンが増え、快感を感じます。

これに対し内向型の人はドーパミン感受性が高いので、ドーパミンが過剰になると、刺激が多すぎると感じます。内向型の人の主要な経路には、アセチルコリンという、脳と体の生命維持機能にかかわる、もうひとつの神経伝達物質が密接に関わっています。それは、注意力と学習力(ことに知覚学習)に働きかけ、穏やかな覚醒状態を維持する能力や長期記憶を利用する能力に影響を及ぼすため、何か考えたり感じたりしている際に、快感を感じます。

 

 つまり、脳が快感を得るしくみの違いから内向型・外向型の行動の違いが生まれるのですね。

 

 

内向型のペース

内向型であるということは、生まれ持ったの脳のしくみに由来するものであるとわかりました。しかし、社会では外向型の良い側面が賛賞されることが多いです。

 

わたしたちは、制限を設けずに、「すべてを手に入れろ」「あらゆることをやれ」という社会で育っている。しかし実際は、だれにでもーーことに内向型の人にはーー限界がある。

 

あらゆることに挑戦して、飛び込んでみて、多様な世界を知ることはすばらしいことです。実際に私も、大学時代はそういう考え方をもって色々なことに挑戦しました。それは、本当に豊かな経験だったし、幸運だったと思います。一方で、エネルギーには限りがあるということにも気がつきました。それは苦しいことでもありました。

 

これは、あなたに欠陥があるということではない。限界があること自体は問題ではなく、苦しみをもたらすのは、わたしたちの限界に対するとらえかたのほうなのだ。

 

いつも溌剌と明るかったり、何事も要領よくこなせたりする人をみては、どうして私は多くの人と関わったり、要領よく試験に合格したりできないんだろう、どうしてこんなに時間がかかるのだろう、と感じてきました。しかし、限界に対してこのようにとらえていると、自分自身をいらだたせ追い込んでしまうだけでなく、自分は変われるのだと意味のない期待をし続けることになります。こういった期待を諦めることはつらいけれど、事実を受け入れて肯定的にとらえられると、かなり気持ちが楽になります。

 

 

生まれ持った性質を大切にする

さて、本書を読み進めるうちに、私は内向型であることを受け入れられるようになりましたが、世の中うまくやっていくためには外向型のスキルって必要ですよね。例えば、仕事をするときあちこちに連絡をとり、コミュニケーションをとって円滑な仕事を図る・・・ということは避けては通れません。基本的に慣れない人と話すのが苦手なので結構苦痛なときがあります。正確にいうと、苦痛というか、必要以上に疲れてしまいます。しかし、それでは自分で自分の可能性を狭めてしまうな、とも感じます。

 

…成長とはそもそも、ちょっと新しい自分を感じることなのだ。隔離された生活は不快な感情からあなたをまもってくれるかもしれないが、同時に新たな経験や人との出会いを制限してしまう。このふたつはどちらも、あなたに力を与え、想像したことさえない喜びをもたらすものだ。 

 

そういわれてみると、成長ってちょっと辛い経験のなかにある気がします。著者がいうには、外に向かっているとき、急速にエネルギーを消費していると同時に新しい考えや経験を獲得してもいるのだそう。プラマイゼロのややプラスってかんじかな・・・

 

・・・明日も仕事がんばろう(白目)。

 

最後までありがとうございました!

*1:

Marti Olsen Laney, The Introvert Advantage: How to Thrive in An Extrovert World, New York, 2002.

*2:食事で得たエネルギーの消費が早い、体温が低いという意味